長編小説
あの日の青空をもう一度-外伝-
ユラとシンディの先輩王の剣である、パーナとドナトの物語。
全10話
発足して1年の王の剣に入隊するドナト。彼は故郷で帝国兵と戦ってきた。人を殺すのに躊躇がない。相手が何をしてほしいのか、行動を読むのが上手い。
生きるためになんでもやるが、生きようと動くのは本能でしかない。
意味、理由、夢、希望、目的。そんなものはない。
だが王都の暮らしはなかなか刺激的ではあった。人が多く、誰もが生きるのに夢中の様子を眺めるのが面白く、よく町をブラブラしている。
後輩として入ってきたパーナの、人当たりが良さとは裏腹なギラギラとした闇に、妙に惹きつけられた。
――飼いならしたいな。
今まで経験のない感情を前に、心が弾んだ。
自分でも特定の1人に興味を覚える日が来るとは思わなかった。自身に何か変化があるなら、それも面白い。
パーナことパウリーナ。
自分が反感を買いやすい顔だという自覚はある。それ以上に『美しい』と思われる顔であることも。
勝手に私を嫌っている相手でも、少し話してみれば大抵その偏見は取り払える。
人の懐に入るのは得意なはずだった。
王都という新境地でだって、私は上手くやっていけると信じていた。実際、充分うまくやれているだろう。
ドナトの事は、自分に近いものを感じて警戒していた。きっと、私にとって一番厄介な男になるだろうという確信があった。
恋だ愛だと現を抜かす気などない。誰かを好きになるより好きに"させる"方が大事なのに。
このまはまではいけない、と漠然とした警戒心がジリジリと胸を焼く。
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